住宅ローンの金利は、家づくりを考えるうえで避けて通れない重要なテーマです。
特に注文住宅では、建物価格だけでなく、土地代や諸費用を含めた総額で住宅ローンを組むケースが多く、金利の選び方が将来の暮らしに大きく影響します。
一方で、
「変動金利は低いと聞くけれど不安がある」
「固定金利は安心だが、総返済額が増えそう」
このように、情報が多すぎて判断に迷う方も少なくありません。
そこで本記事では、
3000万円・4000万円を35年ローンで借りた場合の具体的な返済額をもとに、変動金利と固定金利の違いを注文住宅の資金計画目線で整理していきます。
さらに、金利だけに左右されない、後悔しにくい住宅ローンの考え方についても解説します。
これから家づくりを始める方が、自分に合った住宅ローンを判断するための参考になれば幸いです。
住宅ローンの金利、何を基準に考えればいい?
住宅ローンの金利を考える際に重要なのは、「今の金利が低いかどうか」ではなく、自分たちの暮らし方に対して無理のない返済が続けられるかどうかです。
変動金利と固定金利には、それぞれ明確なメリットと注意点があります。
このあと、具体的な返済額や利息の違いを見ながら、どのような考え方で判断すべきかを整理していきます。
住宅ローンの金利とは?注文住宅を考える前に知っておきたい基本
住宅ローンの金利とは、借りたお金に対して支払う「利息の割合」のことです。
住宅ローンには、大きく分けて金利が変動する「変動金利」と返済期間中の金利が一定の「固定金利」があり、どちらを選ぶかによって、毎月の返済額や将来の安心感が変わってきます。
家づくりの打合せでは建物価格や間取りに意識が向きがちですが、
実際の支払総額に大きく影響するのが、この「金利タイプの選択」です。
金利の違いで総返済額が大きく変わる理由
住宅ローンは「高額 × 長期間」の借入になるため、金利の違いが総返済額に大きく影響します。
月々の返済額は大きく変わらなく見えても、35年という期間で見ると、利息の合計は数百万円単位で差が出ます。
そのため、住宅ローンは月々の支払いだけでなく、総返済額の視点で判断することが重要です。
注文住宅では金利の考え方が重要になる背景
注文住宅の場合、
・建物仕様によって建築費が変動しやすい
・土地代や外構、諸費用まで含めた資金計画が必要
といった特徴があり、住宅ローンは長期的な暮らしを前提に考える必要があります。
そのため、
「月々の返済額を抑えやすい変動金利が良いのか」
「将来の安心感を優先して固定金利を選ぶべきか」
という視点で、早い段階から金利タイプを意識した資金計画を立てることが重要です。
注文住宅だからこそ、
変動金利と固定金利、それぞれの特徴を理解した上で選ぶことが、後悔しない家づくりにつながります。た資金計画を家づくりの初期段階で整理することが、安心して進めるための大切なポイントになります。
3000万円を35年ローンで借りると利息はいくらになる?
住宅ローンを検討する際、「利息がどれくらいかかるのか」は多くの方が気になるポイントです。
特に注文住宅では借入額が大きくなりやすいため、金利の違いが総返済額にどの程度影響するのかを具体的な数字で把握しておくことが大切です。
ここでは、3000万円を35年ローンで借りた場合を例に、金利ごとの総返済額と利息の目安を見ていきます。
金利1.0%の場合の総返済額と利息
仮に、3000万円を金利1.0%・35年(420回)で借りた場合、毎月の返済額はおよそ 約8.5万円前後 となります。
この条件で35年間返済を続けた場合、
総返済額:約3,570万円
支払う利息の合計:約570万円
が一つの目安になります。
金利1.0%という数字は一見すると小さく感じられますが、35年という長期間で見ると、利息だけで500万円以上を支払うことになります。
この点は、住宅ローンを考える上で必ず押さえておきたいポイントです。
金利1.5%・2.0%の場合の利息の差
同じ3000万円・35年ローンでも、金利が上がると利息は大きく変わります。
例えば、
【金利1.5%の場合】総返済額:約 3,880万円 利息:約 880万円
【金利2.0%の場合】総返済額:約 4,200万円 利息:約 1,200万円
となり、金利1.0%と2.0%では、利息だけで600万円以上の差が生じます。
月々の返済額の差は数千円〜1万円程度に見えることもありますが、長期間積み重なることで、最終的な負担は大きく変わってきます。
わずかな金利差が35年で生む影響
住宅ローンでは、0.5%や1.0%といったわずかな金利差でも、35年間で見ると数百万円の差になります。
「今は低いから」という理由だけで判断するのではなく、長期的な返済額の変化まで想定して金利を考えることが大切です。
4000万円を35年で借りた場合、月々の返済額はいくら?
注文住宅では、土地代や建物仕様によって総予算が4000万円前後になるケースも珍しくありません。
借入額が3000万円から4000万円に増えると、月々の返済額や家計への影響も大きく変わってきます。
ここでは、4000万円を35年ローンで借りた場合の返済額を、金利別に見ながら整理していきます。
金利別に見る月々返済額の目安
4000万円を35年(420回)で借りた場合の、金利別の月々返済額の目安は以下の通りです。
【金利1.0%の場合】
月々の返済額:約 11.3万円前後
総返済額:約 4,760万円
【金利1.5%の場合】
月々の返済額:約 12.2万円前後
総返済額:約 5,120万円
【金利2.0%の場合】
月々の返済額:約 13.2万円前後
総返済額:約 5,540万円
金利が1.0%から2.0%に上がるだけで、月々の返済額は約2万円、総返済額では約800万円近い差が生じます。
毎月の負担は少しずつでも、35年という長期間で考えると、家計への影響は決して小さくありません。
4000万円借入時に家計で意識したいポイント
4000万円の住宅ローンを組む場合、「借りられるかどうか」ではなく、「無理なく返し続けられるかどうか」という視点が重要になります。
特に意識したいポイントとしては、
- 将来の収入変化や働き方
- お子さまの教育費や車の買い替え
- 光熱費・修繕費など住み始めてからの支出
などが挙げられます。
注文住宅では、建物性能によって光熱費が大きく変わることもあります。
月々の返済額だけを見るのではなく、住宅にかかるトータルコストを踏まえて返済計画を考えることが、安心して暮らすためのポイントです。
住宅ローンの変動金利はみんな何%くらいで借りている?
住宅ローンを検討していると、「他の人はどれくらいの金利で借りているのか」という点が気になる方も多いのではないでしょうか。
特に変動金利は、金融機関や時期によって金利水準が異なるため、“みんなが選んでいる金利の目安”を知っておくことは判断材料の一つになります。
現在選ばれている変動金利の水準感
近年、住宅ローンを利用している方の多くが選んでいるのは変動金利です。
金融機関や条件にもよりますが、現在は
0.6%台前後〜1.25%台前後
といった水準で借りているケースが多く見られます。
特に、給与振込や各種取引条件を満たすことで、店頭金利から大きな優遇を受けられる場合もあり、「想像していたより金利が低い」と感じる方も少なくありません。
この低金利が、変動金利を選ぶ方が多い理由の一つになっています。
なぜ変動金利を選ぶ人が多いのか
変動金利が選ばれやすい理由としては、主に次の点が挙げられます。
- 当初の金利が低く、月々の返済額を抑えやすい
- 借入当初の家計負担が軽くなる
- 固定金利と比べて総返済額が少なくなる可能性がある
特に注文住宅では、建物費用や土地代で予算が膨らみやすいため、少しでも月々の返済額を抑えたいという考えから変動金利を選ぶケースも多く見られます。
また、将来的に繰上返済を予定している方にとっては、「金利が低いうちに元本を減らせる」という点も、変動金利の魅力といえます。
「みんなが選んでいる=安心」ではない理由
一方で、「多くの人が変動金利を選んでいるから安心」と考えるのは注意が必要です。
変動金利は、将来的に金利が上昇した場合、月々の返済額や総返済額が増える可能性があるという特徴があります。
実際には、
- 家計に余裕があるかどうか
- 将来の収入や支出の見通し
- 金利上昇時にどこまで許容できるか
といった条件は、人それぞれ異なります。
注文住宅は長く住み続ける住まいだからこそ、「周りがどうしているか」ではなく、自分たちの暮らし方に合った金利タイプかどうかを基準に考えることが大切です。
変動金利と固定金利、注文住宅ではどう考えるべきか
住宅ローンを検討する際、「変動金利と固定金利、どちらが得か」という視点で考えがちですが、注文住宅の場合は“どちらが自分たちの暮らしに合っているか”という考え方がより重要になります。
建てて終わりではなく、長く住み続ける住まいだからこそ、金利タイプの特徴を理解した上で選ぶことが、安心につながります。
変動金利が向いている人の特徴
変動金利は、次のような考え方の方に向いている傾向があります。
- 月々の返済額をできるだけ抑えたい
- 家計にある程度の余裕があり、金利上昇時にも対応できる
- 将来的に繰上返済を積極的に行う予定がある
変動金利は当初の金利が低いため、借入当初の負担を軽くできる点が大きなメリットです。
一方で、金利が上昇した場合に返済額が増える可能性があるため、「金利が上がっても慌てない余力があるか」を事前に考えておくことが大切です。
固定金利が安心につながるケース
固定金利は、返済期間中の金利が一定であるため、将来の返済額が変わらない安心感があります。
例えば、
- 家計に大きな余裕はないが、毎月の支出を安定させたい
- 教育費や老後資金など、将来の支出計画がすでに見えている
- 金利上昇の不安をできるだけ避けたい
といった場合には、固定金利を選ぶことで精神的な安心につながります。
当初の金利は変動金利より高めになりますが、「返済額が変わらない」という価値をどう考えるかが判断のポイントです。
家づくりの予算計画と金利選びの関係
注文住宅では、建物価格だけでなく、
- 土地代
- 外構費用
- 家具・家電
- 将来のメンテナンス費用
なども含めたトータルの資金計画が必要になります。
その中で、金利タイプをどう選ぶかによって、毎月の返済額や将来の家計の余裕が変わってきます。
「建物に予算をかけすぎて、返済がギリギリになる」といった状況を避けるためにも、家づくりの予算計画と住宅ローンの金利選びは、必ずセットで考えることが重要です。
注文住宅の資金計画は金利だけで決めないことが大切
住宅ローンを考えると、どうしても「金利」に目が向きがちですが、注文住宅では金利だけで資金計画を判断してしまうことにリスクがあります。
長く安心して暮らすためには、住宅ローンの返済とあわせて、住み始めてからの支出まで含めた視点が欠かせません。
建物性能と光熱費を含めた長期視点
注文住宅では、断熱性能や気密性能、設備仕様によって、住み始めてからの光熱費が大きく変わります。
例えば、
- 断熱性能が高い住宅は、冷暖房費を抑えやすい
- 室内の温度差が少なく、暮らしやすさが向上する
といった効果が期待できます。
月々の住宅ローン返済額が多少増えたとしても、光熱費が抑えられることで、家計全体で見ると負担が軽くなるケースもあります。
金利だけで判断するのではなく、建物性能とランニングコストを含めた長期的な視点で考えることが、注文住宅では特に重要です。
月々返済額だけを見てしまうリスク
住宅ローンを検討する際、「毎月いくらなら払えるか」という視点はもちろん大切です。
しかし、月々返済額だけを基準に判断してしまうと、
- 将来の修繕費を考慮していなかった
- 教育費や車の買い替え時期と重なって負担が大きくなる
- 金利上昇時の影響を想定していなかった
といったリスクが生じることがあります。
注文住宅は長く住み続ける住まいだからこそ、今だけでなく、10年後・20年後の家計も見据えた資金計画を立てることが大切です。
よくある質問
住宅ローンの金利や返済については、多くの方が同じような不安や疑問をお持ちです。
ここでは、注文住宅を検討されているお客様からよくいただく質問をまとめました。
住宅ローンの金利は今後上がる可能性がありますか?
将来的に金利が上昇する可能性はあります。ただし、短期的な予測は専門家でも難しいため、「上がる・下がる」を前提に判断するのではなく、金利が変動しても家計が成り立つかどうかを基準に考えることが重要です。
3000万円と4000万円では返済の負担はどれくらい違いますか?
借入額が1000万円増えると、金利や返済期間が同じでも月々の返済額は約2〜3万円、総返済額では数百万円単位で差が出ます。無理のない返済かどうかは、月額だけでなく将来の支出も含めて判断しましょう。
変動金利と固定金利は途中で変更できますか?
金融機関によっては借り換えや金利タイプ変更が可能です。ただし、手数料や審査が必要になるため、「簡単に変えられる」と考えるのは注意が必要です。
注文住宅の場合、住宅ローンはいつ契約するのが一般的ですか?
多くの場合、建物請負契約後から着工前に本審査・契約を行います。土地購入がある場合は、土地先行融資を利用するケースもあります。
金利が不安な場合、工務店にどこまで相談して良いのでしょうか?
工務店には、資金計画全体の考え方や無理のない返済額について相談して問題ありません。金融機関選びや返済シミュレーションについても、実務経験をもとにアドバイスできるケースが多くあります。
無理のない住宅ローン金額はどう考えればいいですか?
現在の収入だけで判断せず、教育費や老後資金など将来の支出も踏まえて考えることが重要です。月々の返済額が「払える」ではなく、「無理なく続けられる」かどうかを基準にしましょう。
まとめ
住宅ローンの金利は、「変動金利と固定金利のどちらが得か」という単純な比較だけでは判断できません。
借入額や返済期間、将来の暮らし方によって、向いている金利の考え方は人それぞれ異なります。
特に注文住宅では、建物性能や光熱費、住み始めてからの暮らしまで含めて考えることで、住宅ローンの返済と家計のバランスが取りやすくなります。
大切なのは、今の金利の数字に振り回されるのではなく、長く安心して暮らせるかどうかを基準に住宅ローンを考えることです。
これから家づくりを進める中で、資金計画に不安を感じた際には、早い段階で相談しながら整理していくことが、後悔のない住まいづくりにつながります。



